日本ワインとは、国産ブドウを原料とした果実酒であると定義されている。
日本は、南北に細長い国で、面積はドイツとほぼ同じだが、75%は山間部となっている。現在では、47都道府県のほとんどでワインが造られるようになっている。
日本ワインの生産量は、17万hl。生産量の多い都道府県から、山梨、長野、北海道、山形、岩手、新潟である。
※原料が国内、海外産であるかにかかわらず、国内で生産された果実酒、甘未果実酒は「国内製造ワイン」と呼び、その生産量は87万hl。
生産量
17万hl
気候風土
北緯26度~44度。その差は18度に及ぶ。
日本全体では、内陸性気候。
歴史
1874年 山田宥教(ひろのり)、詫間憲久が、甲府にてワイン造りをはじめた。
1877年 山梨勝沼の祝村に「大日本山梨葡萄酒会社」が設立(民間のワイナリー)
1893年 新潟県で川上善兵衛によって「岩の原葡萄園」が設立
1973年 ワイン元年と称される(ワインの消費量が、甘未果実酒を上回る)
川上善兵衛は、マスカット・ベーリーAやブラック・クイーンなどの改良品種を開発
ワイン法と品質分類
日本の酒税法では、ワインは果実酒、または甘未果実酒に分類される。
フォーティファイドワイン(酒精強化ワイン)は、一般的には甘未果実酒に該当する。
果実酒
- 果実又は果実及び水を原料として発酵したもの
- 果実又は果実及び水に糖類を加えて発酵したもの
- 上記酒類に糖類を加えて発酵したもの
- 上記酒類にブランデー、アルコール、スピリッツ、または糖類、香味料、水を加えたもの
甘未果実酒
- 果実又は果実及び水に糖類を加えて発酵したもの
- 果実酒、上記甘未果実酒に糖類を加えて発酵したもの
- 上記酒類に、ブランデー、アルコール、スピリッツ、または糖類、香味料、水を加えたもの
- 上記酒類に、植物を浸してその成分を浸出させてもの、もしくは薬剤を加えたもの、またはこれらの酒類にブランデー等、糖類、香味料、色素、水を加えたもの
表示ルール
日本ワインの場合のみ、「日本ワイン」と表記、地名、ブドウ品種名、収穫年を記すことが可能(海外原料を使用した場合は、記すことができない)。
分類 | 概要 |
---|---|
日本ワイン | 国産ブドウのみを原料、日本国内で製造された果実酒 |
国内製造ワイン | 日本国内で製造された果実酒 |
輸入ワイン | 海外で製造された果実酒 |
地名
- 産地名・・表示地名で収穫したブドウを85%以上使用して醸造した場合
- 収穫地名・・表示地名で収穫したブドウを85%以上使用
- 醸造地名・・表示地名で醸造した場合
ブドウ品種
85%ルール
- 単一品種名・・85%以上使用
- 2品種表示・・2品種あわせて85%以上使用
- 3品種以上表示・・3品種以上あわせて85%以上使用
収穫年
85%ルール
地理的表示制度(GI)
ぶどう酒・・山梨、北海道
ブドウ品種
日本では、欧州・中東系品種(ヴィティス・ヴィニフェラ)だけでなく、アメリカ系品種(ヴィティス・ラブラスカ)、日本野生ブドウ(ヴィティス・コワニティ)といった多種多様な品種を使用している。
甲州
日本の在来品種。
果皮は、やや薄い藤紫色。
来歴として、「雨宮勘解由説」と「大善寺説」がある
- 雨宮勘解由説・・1186年祝村の雨宮勘解由が付近の山である「城の平」で山ぶどうの変異種を見つけた改良したもの。
- 大善寺説・・718年僧の行基が祈願の際に右手にブドウを持った薬師如来が現れたことから、大善寺をたててブドウの種を蒔き、栽培方法を教えたもの。
2013年甲州のルーツは、ヴィティス・ヴィニフェラのDNAに中国の野生種であるヴィティス・ダヴィーディが含まれていることが明らかになった。
果皮が比較的厚く、耐病性があることが特徴。また糖度が上昇しにくい。
基本的には棚仕立て。
産地としては、山梨と山形に多い。
消費量
果実酒は、東京の次が山梨。
清酒は新潟が第一位。
北海道
空知地方(そらち)と後志地方(しりべし)が中心。
欧・中東系品種(ヴィティス・ヴィニフェラ)が多い。
歴史
1876年 「開拓使麦酒醸造所」においてヤマブドウ(ヴィティス・コワニティ)からワインを醸造。
主要ブドウ品種
白ブドウ・・ナイアガラ
黒ブドウ・・キャンベル・アーリー
※特有品種として、黒ブドウの山幸(やまさち)と清舞(きよまい)がある。
岩手県
主要ブドウ品種
白ブドウ・・リースリング・リオン
黒ブドウ・・キャンベル・アーリー
山形県
2016年上山市に「かみのやまワイン特区」、南陽市に「ぶどうの里なんよう」に特区指定。
主要ブドウ品種
白ブドウ・・デラウェア
黒ブドウ・・マスカット・ベーリーA
新潟県
新潟砂丘の一部である角田浜と越前浜にワイナリーが集積し、「新潟ワインコースト」と称している。
川上善兵衛が「岩の原葡萄園」を設立。
長野県
2013年「信州ワインバレー構想」を発表。
2008年東御市のワイン特区認定を皮切りに、多くの市町村が特区認定されている。
主要ブドウ品種
白ブドウ・・ナイアガラ
黒ブドウ・・コンコード
主要ワイン産地
桔梗が原ワインバレー・・松本盆地南端の塩尻市全域
千曲川ワインバレー・・佐久市から中野市までの千曲川流域
日本アルプスワインバレー・・松本盆地内の松本市、池田町、安曇野市など。
天竜川ワインバレー・・伊那盆地
山梨県
主要ブドウ品種
白ブドウ・・甲州
黒ブドウ・・マスカット・ベーリーA
主要な産地
甲府盆地東部・・甲州市、山梨市、笛吹市など。
甲府盆地中央部・・甲州市の旧玉諸、旧里垣など。
甲府盆地北西部・・北杜市、韮崎市、甲斐市など。
甲府盆地西部・・南アルプス市など。
大阪府
宮崎県
都農町を中心にキャンベル・アーリーの栽培が広がる。