酒類飲料概論

目次

ビール

ビールは、「麦芽、ホップ、水、及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもので、その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の100分の50以上のもの」「前述の酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたものでアルコール分が20度未満のもの」と定義している。

歴史

紀元前4000年以上前までさかのぼるとされる。

紀元前1700年代半ばに制定された初めての成文法「ハムラビ法典」にもビールにかかわる法律が制定されている。

1516年、ドイツで「ビール純粋例」が定められ、原料として、麦芽、ホップ、水以外は使用してはならないとされた。

低温殺菌法、酵母の純粋培養法、アンモニア冷凍機が、ビールの3大発明とされる。

  • 低温殺菌法・・1866年、細菌学者のパスツールが発明
  • 酵母の純粋培養法・・1883年、ハンセンが発明
  • アンモニア冷凍機・・1873年、リンデが発明

ビールの生産・消費

ビールの生産量は、19億hl(2017年)でワインの約8倍。

生産量の一位は中国、消費量の一位はチェコ。

造り方

麦芽には、主に二条大麦が使用される。

ホップは、ビールに特有の苦みや香りを与えるとともに、ビールの泡持ちを良くし、雑菌の生育を抑える働きがある。

副原料として、麦、米、トウモロコシ、でんぷんなどが使用される。

ビールのタイプ

酵母の性質により、下面発酵ビール、上面発酵ビールに分けられる。発酵後に残存する酵母を死滅させるために熱処理したビールに対して、熱処理しないで濾過により酵母を完全に除去したしたビールがいわゆる生ビール。

  • ラガービール・・貯蔵工程で熟成させたビール。
  • 生ビール、ドラフトビール・・熱処理していないビールのこと。
  • スタウト・・濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く香味の特に強いビール。

ウイスキー

穀類を原料として、糖化した液を発酵させ、蒸留し、その留液を木製の樽で貯蔵・熟成させた蒸留酒。

モルトウイスキーは、原料にモルト(malt 麦芽)が使われているウイスキー、グレーンウイスキーは、原料にグレーン(grain 穀類、穀物)が使われているウイスキーのこと。

5大ウイスキー味わいの特徴
アイリッシュ穀物の穏やかな風味
スコッチ複雑で多彩な香味。
スモーキーフレーバーが特徴。
アメリカン華やかで厚みがある。
オークの香味が強い。
カナディアンライトでスムーズ。
ジャパニーズ多彩な香味。
穏やかでバランスが良い。

ブランデー

果実もしくは果実及び水を原料として発酵させたアルコール含有物、または果実酒(果実酒かすを含む)を蒸留したもので、蒸留の際の流出時のアルコール分が95度未満とされるもの。またこれにアルコール、スピリッツ、香味料、水などを加えたものや、果実酒にオークを浸してその成分を浸出させたものを蒸留したものもブランデーとされる。

フランスのコニャック、アルマニャックのほか、スペインのシェリーの産地で熟成させるブランデー・デ・へレス、南米のペルーやチリのピスコなどがある。

コニャック(フランス)

ボルドーの北方のコニャック地域で造られるブドウを原料としたブランデーのこと。

シャラントポットと呼ばれる蒸留機を使って、単式蒸留を2回繰り返しして生産される。

使用される主なブドウ品種は、ユニ・ブラン(サン・テミリオン・デ・シャラント)、フィル・ブランシュ、など。

アルマニャック(フランス)

フランス南西部のアルマニャック地方で造られるブドウを原料としたブランデーのこと。

連続式蒸留機、単式蒸留機のどちらも使用される。

マール(フランス)

ブドウの搾りかすから造られるブランデー。

グラッパ(イタリア)

ブドウの搾りかすから造られるブランデー。

カルヴァドス(フランス)

リンゴを発酵させたアップルワイン「シードル」を造り、それを蒸留させたアップルブランデー。フランスのカルヴァドス地方で造られるもの。

スピリッツ

広義には、ウイスキー、ブランデーを含む蒸留酒を意味する。日本の焼酎もスピリッツの一種。

名称原料、特徴
Gin(ジン)穀類を原料としたグレーンスピリッツなどに、ジェニパーベリーやコリアンダーシードなどのボタニカル(草根木皮)を加えて再度蒸留したもの。
無色透明。
Vodka(ウォッカ)穀類、芋類を原料としたスピリッツを白樺炭で濾過した蒸留酒。
Tequila(テキーラ)メキシコの国内法により規制。
原料は、ブルー・アガベ(竜舌蘭)。51%以上使用する。
テキーラで定められている地域外で製造された場合は、メスカルと呼ばれ区別される。
Rum(ラム)サトウキビの搾汁や製糖の際に発生する副産物である糖蜜を発酵させ蒸留したスピリッツ。
Aquavit(アクアヴィット)製法はGinと同じであるが、GInがジェニパーベリー中心であるのに対して、アニスなどが使わわれる。
北欧で生産されている。

リキュール

リキュールは、一般的に蒸留酒(スピリッツ)に果実、香草、花などの香味を抽出させ、砂糖・シロップなどの甘味を加え、着色したものを指す。

分類名称特徴
香草・薬草Absinthe アブサンニガヨモギの香味
香草・薬草Anises アニゼアニスの種子の香味
香草・薬草Quinquina キンキナワインベースにキナの樹の樹皮を用いたもの
香草・薬草Chatreuse シャトリューズアルプス山麓のヴォワロンの修道院で1605年に生まれた。
ブランデーベースに薬草などを加えたもの。
Verte(ヴェルト、緑)はスパイシー
Jaune(ジョーヌ、黄)ははちみつ風味。
香草・薬草Benedictine ベネディクティンノルマンディ地方のベネディクト派修道院で
1510年に生まれた。
香草・薬草Suze スーズリンドウ科ジェンシアンの根が主原料
香草・薬草Campari カンパリビター・オレンジ果皮が主原料
香草・薬草Galliano ガリアーノイタリア。
ヴァニラ香とアニス香を調和した香味を持つ。
香草・薬草Amaro アマーロイタリア。
アマーロはイタリア語で「苦い」を意味する。
香草・薬草Sambuca サンブーカイタリア。
アニスシード、エルダーベリーなどをスピリッツに浸漬。
香草・薬草Cynar チナールイタリア。
アーティチョークを主原料
香草・薬草Quzo ウゾギリシャ。
アニスを蒸留酒に浸漬し再度蒸留。
香草・薬草Jagermeister イエーガーマイスタードイツ。
56種類のハーブやスパイスが主原料。
香草・薬草Drambuie ドランブイスコットランド
スコッチウイスキーにはちみつやハーブを配合
香草・薬草Green Tea グリーン・ティー日本
緑茶のリキュール
果実Cutscao キュラソーオレンジ果皮
果実Maraschino マラスキーノイタリア
マラスカ産チェリーを発酵、蒸留
果実Creme de Cassis
クレーム・ド・カシス
ブラック・カラント(カシス)の実をグレープスピリッツ
やワインに浸漬、糖を加えて熟成させたもの。
果実Southern Comfort
サザン・カンフォート
アメリカ
ピーチ他数十種のフルーツとハーブを配合
果実梅酒日本
青梅を浸漬
種子・核Amaretto アマレットイタリア
あんずの核
種子・核Frangelico フランジェリコイタリア
ヘーゼルナッツ風味
Beiley’s Original Irish Cream
ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュ・クリーム
アイルランド。
牛乳クリームとアイリッシュウイスキー
Advocaat アドヴォカートオランダ・ドイツなど
エッグ・リキュール

中国酒

  • 黄酒(ホワンチュウ)・・穀類、主にもち米を原料とし、麹で発酵した醸造酒。長期貯蔵、熟成させたものは、「老酒(らおちゅう)と呼ばれる。浙江省紹興で醸造されたものを「紹興酒」と呼ぶ。
  • 白酒(パイチュウ)・・中国古来の蒸留酒。伝統的な白酒は、コウリャンが原料。

カクテル

カクテルは、ある酒に別の酒や、なにかを加えて、新しい味を創作したのみもの、とされる。

4技法

Build(ビルド)、Stir(ステア)、Shake(シェイク)、Blend(ブレンド)の4技法。

  • Build・・直接グラスで造る。最もシンプルな技法。
  • Stir・・混ぜる、攪拌して造る。
  • Shake・・シェイクは振るという意味。シェイカーという器具が生まれた。
  • Blend・・ブレンドは混和するという意味。

ミネラルウォーター

水。各国で分類が異なるが日本では、ナチュラルウォーター、ミネラルウォーター、ボトルドウォーターに分類される。

分類原水処理方法
ナチュラルウォーター特定水源から採水した地下水濾過、沈殿、加熱殺菌以外を行ってはいけない。
ミネラルウオーター特定水源から採水した地下水濾過、沈殿、加熱殺菌以外の本来成分を変化させる処理を行ったもの(原水の混和、ミネラル量の微調整など)
ボトルドウォーター特定水源から採水した地下水、原水が地下水以外のもの 濾過、沈殿、加熱殺菌以外の本来成分を変化させる処理を行ったもの(ミネラル量の大きな調整など)

硬度とは、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの量を、炭酸カルシウムの量に換算したもの。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次