中央ヨーロッパ、北緯47度~48度、ブルゴーニュとほぼ同じ緯度に位置します。北はドイツ、チェコ、西はスイス、南はイタリア、スロヴェニアと接する。大きさは、北海道ほどで、ドイツ語が公用語です。
ワイン生産地は、西部が高山のため、東端部の4州に集中しています。
オーストリアワインで有名なものに「ホイリゲ」があるが、フランスのヌーヴォーやプリムールと同じ新酒を意味する。
またホイリゲは、ワイン生産者兼居酒屋を指します。ホイリゲとブッシェンシャンクは同じような言葉ですが、この2つの用語は重要。ワイン製造業と飲食業が分かれている多の国と異なる特徴をもつ。
ホイリゲ(ワイン生産者兼居酒屋)、ブッシェンシャンク(居酒屋)
生産量
約320万hl(2018年)
赤78%、白22%
歴史
ブドウ栽培は、紀元前700年ごろの記録(遺跡)がある。
10世紀から12世紀にシトー派修道院でワイン文化を伝えている。
18世紀ヨーゼフ2世の治世下、ワイン生産が奨励される。
1860年クロスターノイブルグ修道院に世界最古の醸造学校が設立される。
気候風土
大陸性気候
ブドウ品種
白ブドウ品種は、全体の3分の2を占める。
白ブドウ・・グリューナー・ヴェルトリーナー(固有の地場品種)
黒ブドウ・・ツヴァイゲルト
ワイン法と品質分類
EUのワイン法の枠内。
用語はドイツのワイン法と似ているが相違点があるので要注意。
品質区分で重要なのはKMW糖度という原料用ブドウ果汁の測定法による分類。
原産地呼称保護ワイン | クヴァリテーツヴァイン |
プレディカーツヴァイン | |
地理的表示保護ワイン | ライトヴァイン |
地理的表示なしワイン | 品種名またはヴィンテージ付きワイン |
ヴァイン |
原産地呼称保護ワイン
クヴァリテーツヴァイン・・単一の生産地域内で収穫されたブドウから作られるワイン。
カビネット・・クヴァリテーツヴァインのうち一定の要件を満たした場合に表示可能。
DAC・・クヴァリテーツヴァインでDACステータスを申請した場合に表示可能。
プレディカーツヴァイン・・特定の製法で作られたクヴァリテーツヴァイン(詳細は下記参照)。
品種と糖度によるドイツ式の品質分類に加えて、フランスのAOCやイタリアのDOCGのような原産地呼称制度を推進しており、これをDAC(限定的生産地域)という。
プレディカーツヴァイン
KMW糖度(原料用ブドウ果汁の糖度の測定法)により以下に分かれる
シュペトレーゼ | 遅摘みブドウ |
アウスレーゼ | 房選りブドウ |
ベーレンアウスレーゼ | 粒選りブドウ |
アイスヴァイン | 凍結したブドウ |
シュトローヴァイン | 藁・葦のうえで自然乾燥 |
トロッケンベーレンアウスレーゼ | 貴腐ブドウ、特に乾燥したブドウ |
※シュペトレーゼ=遅積み
※アウス=選ぶ
※レーゼ=収穫
※ベーレン=ブドウの粒
※シュトロー=藁
※トロッケン=乾燥
その他
リート・・単一畑から生まれるワイン
ゼクト・・発泡ワイン
ペアルヴァイン・・発泡ワイン
シャウムヴァイン・・発泡ワイン
ベルクヴァイン・・傾斜が26%を超える段丘や急斜面に植えられたブドウ樹から収穫したブドウを原料としたワイン
地理的表示保護ワイン
単一のブドウ栽培地方(3つ)のブドウから造られるワイン。ライトワイン(ライトヴァイン)と表示。
地理的表示なしワイン
オーストリア国内で収穫されたブドウを原料とした場合、オーストリアワインと表記することができる。
産地
ブドウ栽培地方・・3
包括的生産地域・・9
限定的生産地域・・17
包括的生産地域(9)
包括的生産地域(9)のうち主要な産地である4つは覚える。
ニーダーエスタライヒ州 | 東北部 オーストリア全体の61% グルーナーヴェルトリーナーの本拠地 8つの限定的生産地域がある |
ブルゲンラント州 | 赤ワイン主体(オーストリア全体の50%) |
ウィーン州 | 首都 |
シュタイヤーマルク州 | 南部 |
限定的生産地域(17)
ニーダーエストライヒ州
ヴァッハウ | 世界遺産 リースリングが有名 |
クレムスタール | |
カンプタール | |
ヴァインファアテル | オーストリア最北。最大の限定的生産地域 |
ブルゲンラント
ノイジードラーゼー | |
ライタベルク | |
ロザリア | 2018年にDACに。 |
ミッテルブルゲンラント | |
アイゼンベルク |
ヴァッハウは、美しいブドウ畑の景観が世界遺産に認定され、リースリングで有名なDAC。